動産譲渡登記について

ここでは、以下の項目について解説しています。

 

1 制度趣旨

2 登記の対象及び効力

3 動産の特定方法について

1 制度趣旨

 

近似、企業における金融実務においては、これまで担保としてあまり活用されてこなかった、企業が保有する在庫・機械設備等の動産を活用して資金調達の手法が注目を集めています。

 

動産を活用した資金調達の具体的な方法としては、
@ 企業が動産を譲渡担保に供して金融機関等から融資を受ける方法と
A 動産を流動化・証券化目的で譲渡し、譲渡代金として資金を取得する方法
とがありますが、いずれの方法においても、動産自体は、譲渡後も企業の直接占有下に置かれたままなのが通常です。

 

このような場合、これまでは占有改定(民法第183条)という外形的には判然としない公示方法によって対抗要件を具備するしかなかったため、後日、占有改定の有無・先後をめぐって紛争を生じるおしれがありました。

 

そこで、このようなおそれを極力解消し、動産を活用した企業の資金調達の円滑化を図るため、平成17年10月3日から動産譲渡登記制度の運用が開始されました。

 

▲Page Top

 

2 登記の対象及び効力

 

動産譲渡登記の対象は、「法人が行う」動産の譲渡に限定されています。
譲渡の目的)担保目的か、真正譲渡か)については、特に制限はありません。

 

動産譲渡登記がされると、当該動産について、民法第178条の引渡しがあったものとみなされ、対抗要件が具備されます


従って、同一動産について

@二重に動産譲渡登記がされた場合の譲受人相互間の優劣は、登記の先後によって決せられ、
また、

A動産譲渡登記と民法第178条の引渡しが競合した場合は、登記がされた時と引渡がされた時の先後によって決せられることになります。

 

なお、動産譲渡登記は、動産の譲渡の事実を公示するものであって、この登記により動産の存在やその所有権の帰属を証明するものではありません。

また、動産譲渡登記は動産譲渡ごとに独立の登記として動産譲渡登記ファイルに記録されるので、登記された動産がさらに転々譲渡されて登記された場合においても、当該動産が転々譲渡されていく経緯が一個の登記をもって公示されるわけではありません。

 

▲Page Top

 

3 動産の特定方法について

 

譲渡の対象たる動産を特定し、公示するための方法としては、

@ 必須の記載事項である「譲渡に係る動産を特定するために必要な事項」と、
A 当事者が任意に記録することのできる「有益事項」があります。

 

@の「譲渡に係る動産を特定するために必要な事項」の記録方法としては、
a. 動産の種類及び特質によって特定する方法(個別動産)と、

b. 動産の種類及び所在によって特定する方法(集合動産

の2つがあり、いずれかの方法を選択することができます。

 

在庫商品など日々内容が変動する(流動)集合動産の場合には、通常、b.の方法により登記することになります。

この場合、原則として当該所在場所にある同種類の動産のすべてが譲渡に係る動産となり、当該所在場所に搬入された時点で動産譲渡登記に効力が及ぶこととなります。

 

<記録例>
a.動産の特質によって特定する方法
【種類】油圧式プレス機
【特質】製造番号:2005ABC0001
【備考】動産の名称:スーパープレスター、保管場所の所在地:愛知県名古屋市北区○○一丁目1番1号

 

b.動産の所在によって特定する方法
【種類】貴金属製品
【所在】愛知県名古屋市北区○○一丁目1番1号
【備考】動産の内訳:指輪、宝石、ネックレス、保管場所の名称:○○物流センター

 

▲Page Top